社内でのコーチングは誰が行うべきか

コーチング事例

社内でのコーチングは誰が行うべきか

2019年08月26日  
Yahoo!、Sansan株式会社※など、社内で1on1ミーティングや社内コーチングを取り入れる企業も増えてきました。

社員のモチベーションが上がった、離職率が減ったなど、社員の幸福度向上に繋がる取り組みとして注目されつつあります。

しかし、うまくいっている企業の真似をしてコーチング制度を取り入れてみたけれど、利用者がほとんどおらず形骸化してしまっている企業も多くあります。

コーチング制度の導入に失敗した各企業に理由を聞いたところ、原因は適切な人にコーチを任せていないことでした。

では、どんな人にコーチを任せれば、社内にコーチング制度が根付き効果を発揮するのでしょうか?

▼目次
誰がコーチングを行うべきか
社内でコーチングをする時の注意点は?
社内コーチングのメリット/デメリットは?
社内コーチ制度を作る上での注意点
社内コーチを育成する方法は?


▼ヤフー株式会社
検索、ニュース、eコマースなど100以上のサービスを提供している日本最大級のインターネットの総合情報サイト「Yahoo! JAPAN」を運営。売上高8,971億円(連結)※2018年度
「上級管理職向けエグゼクティブコーチング」と「社内コーチ育成研修」を導入。
出展:https://www.businesscoach.co.jp/case/yahoo.html

▼Sansan株式会社
名刺管理サービスアプリの開発、販売を行う。売上高102億円※2019年度
コーチング制度「コーチャ」を企業内コーチとして推進。
出展:https://mirai.doda.jp/series/interview/arata-mitsuhashi/

誰がコーチングを行うべきか

社内でコーチング制度を作りたい場合、誰がコーチをすべきでしょうか。

それは、次の条件を満たす人が望まれます。

・人事評価に関わりがない人

・普段の業務で関わりがない人

・社内で信用されている人

人事評価に関わりがない人

コーチングを受けたい人の気持ちになって考えてみましょう。

例えば、開発部の課長が部下との反りが合わず、悩みを相談したいと考えていたとします。

もしコーチが直属の上司である開発部の部長だとしたら、自分の人事評価に悪影響を及ぼすかもしれないのに、自分の弱みをさらけ出せる訳がありません。

逆に、自分がいかに素晴らしいかを伝え、問題の原因が部下にあると説明するかもしれません。

これは実際にコーチング制度を取り入れる企業でよく起きる現象です。

部署内の問題は部署内で解決すべきという発想から、その部の責任者をコーチに任命してしまう失敗です。

そうすると、誰も相談しようなんて思わず、コーチング制度を導入したけど誰も利用する人がいなかったとなるわけです。

普段の業務で関わりがない人

業務で関わりのある人に自分の弱みを見せるのは勇気がいることです。

普通は周りからどんな風に思われているかとても気にします。

特に、悩みがあったり仕事が上手くいっていないと尚更気にするようになります。

もしコーチングしてもらう相手が、迷惑をかけてしまっている人、もしくは迷惑をかけられている人だったらどんな気持ちがするでしょうか。

きっと自分の本音を語ることは一生ないでしょう。

社内で信用されている人

コーチングは、直接売り上げに繋がる活動ではないため、暇な人に任せようとする企業があります。

しかし、コーチングは高い専門技術と人格が求められます。

そもそもスキルがなかったり、周りから批判されるような人物であるとコーチングには効果がなくなってしまいます。

残念ながらコーチングは、誰にでもすぐに身につけられる技術ではありません。

しっかりと、専門的に学ぶ必要があり、「この人なら相談したい」と思われる人物でなくてはなりません。

社内でコーチングをする時の注意点は?

実際に社内でコーチング制度を導入する時には、いくつかの注意点があります。

・誰がコーチングを受けたか、わからないようにする

・コーチは守秘義務を守る

・コーチが問題を解決しない

誰がコーチングを受けたか、わからないようにする

せっかく、勇気を出してコーチングを受けて見ようと思っても、周りからコーチングを受けたことがわかってはどんな風に思われるかわかったものではありません。

もしかしたら、上司にコーチングを受けたことが伝わって、何か言われるかもしれないと思ったら、とてもコーチングを受けてみようなんて思いません。

いつ、誰がコーチングを受けたか周りからわからないようにしましょう。

コーチは守秘義務を守る

もし、話した内容が人事部や直属の上司に伝わってしまったら、とても安心してコーチに相談しようなんて思えません。

そこで、相談内容は絶対に他の人に話さないと約束する必要があります。

コーチング制度の中にも明記し、コーチングを始める前にもきちんと守秘義務を守ると約束をしましょう。

コーチが問題解決をしない

経験の浅いコーチだったり、相手の仕事内容を熟知していたりすると、つい相手の問題解決をしてあげたくなります。

コーチは、「本人が」問題解決をするためのサポート役です。

上司でもコンサルタントでもないので、でしゃばった真似をしないように注意しましょう。

ただし、アドバイスをしてはいけない訳ではありません。

コーチの持っている知識で解決できる問題なら、知識を伝えることで相手が前進できます。

ただし、アドバイスをした上でそれを受け入れるかどうか、相手に委ねるようにしてください。

そうでなければ、何か問題が起きた時にいつもコーチを頼ってしまうようになり、組織体制として問題が生じます。

社内コーチングのメリット/デメリットは?

コーチング制度を導入する場合は、社外の専門家にお願いするのか、社内の人間でコーチングするのかきちんと検討しましょう。

社内コーチングのメリット

社内の人間がコーチングをする場合、コストがかかりませんし、社外秘が漏洩する心配もありません。

また、社内でどんな問題が発生しているのかいち早く把握できます。

コーチングのノウハウも社内に溜まっていくことで、通常のマネジメント業務にも効果を発揮するようになります。

特に、近年は柔軟な働き方が求められたり、変化に対応できる人材開発をする必要があったりと、これまでのマネジメント手法が通用しなくなってきています。

社内に一人専門家がいれば、他部署のマネジメント業務にも取り入れやすくなります。

社内コーチングのデメリット

社内の人間がコーチングをする場合、スキルが未熟だったり、査定に響くことを懸念されて本音で相談できなかったりします。

例えば人事部の部長がコーチ役だった場合、悩みがあると言えば能力の低いやつだと思われそうで、安心して相談なんてできません。

普通は、自分の問題を他人にさらけ出したいなんて思わないものです。

また、元々知っている人だったり、事前情報をたくさん知っていると、目の前の相手の相談に集中することができなくなります。

営業部の部長が部下への愚痴ばかり言っていたとして、その部下から相談があった時にその人に集中して話が聞けるでしょうか。

きっと部長の愚痴が頭をちらつくはずです。

コーチ側も、相談する社員側もコーチングに集中するための環境を揃えられません。

社内コーチ制度を作る上での注意点

社内コーチ制度を作る時は、専任にして特定の人に任せるようにしましょう。

人事部でローテーションを組んで対応するなどはもっての外です。

コーチングを依頼する側も誰がコーチングしてくれるのかわからず不安を感じてしまいます。

社内コーチと認定して、「この人にお願いする」という状況を作りましょう。

また、コーチングは高度な専門スキルです。

資格のように一度取ってしまえば終わりという訳ではなく、常にスキルを磨き続ける必要があります。

コーチングスキルは、筋肉みたいなもので鍛え続けなければ衰えてしまいます。

そのため、社内コーチに育成のための予算を確保するようにしましょう。

定期的にセミナーに行ったり、コーチとしての専門教育を受ける制度を作ります。

社内コーチを育成する方法は?

社内コーチを育成する方法は主に4つです。

・コーチングスクールに通わせる

・外部プロコーチをつけ、マンツーマンで教育してもらう

・コーチング会社へ出向させる

・もともと専門スキルを持っているプロコーチを入社させる

前提として、コーチングの基本知識は書籍やネット検索で当然学ぶものとします。

コーチングスクールに通わせる

株式会社コーチ・エイ、銀座コーチングスクール、CTIジャパンなど、大手のコーチングスクールに1年間ほど通ってもらい、専門スキルを身につけてもらう方法です。

年間で100万円ほどで学ぶことができます。

上記3社は、コーチングスクール事業を長年やっていてノウハウが蓄積されている会社でもあります。

ただ講義を受けるのではなく、基本的には実戦形式でコーチングを行い、フィードバックをもらいながら自分のコーチングスキルを磨いて行きます。

また、「コーチングを使って社内の◯◯問題に取り組む」など、宿題が出されるので濃い学びが得られます。

逆に挫折してしまう人も多いので、ポテンシャルの高い人を通わせるといいでしょう。

▼株式会社コーチ・エイ
日本にコーチング文化をもたらした最古参のコーチングファーム「コーチ・エィ」によるコーチング・プログラム。
「コーチ・エィ」が組織変革、リーダー開発をしてきた1,900社、20万人以上のリサーチデータをベースに、リーダーがコーチングの理論・スキル・実践方法を身に着けるための手順と方法を提供。
スクール料金:1,500,000円(18ヶ月間)
http://coachacademia.com/

▼銀座コーチングスクール
スクールの拠点数が日本で最も多いコーチングスクール。
コーチングを職場や家庭で活用したい人から、プロのコーチを目指す人まで、段階的なカリキュラムと少人数クラスでの演習を提供。
スクール料金:216,000円(40時間+認定試験)
http://www.ginza-coach.com

▼CTIジャパン
CTI(Coaching Training Institute)は、世界最大の個人向けコーチトレーニング提供機関。
「人は、人間関係と環境から大きな影響を受ける」という考えを元に作られた「Co-Active Model」を採用しており、講座はすべて教科書を使わずに体験を通して学ぶ。
スクール料金:1,160,000円(6ヶ月+14日間)
http://www.thecoaches.co.jp/

外部プロコーチをつけ、マンツーマンで教育してもらう

スクールほどノウハウが溜まっていなくても、特定のプロコーチに見てもらってもスキルを身につけることができます。


基本的にコーチングスキルを身につけるには、実戦形式でコーチングを練習しフィードバックをもらう必要があります。

スクールの講師でなくても、スキルの高いプロコーチからフィードバックをもらっても、同じような効果が得られるでしょう。

コーチング会社へ出向させる

社内の人間をコーチング会社へ出向させ、そこでコーチング技術を学ばせる方法もあります。


ただし、コーチング会社との信頼関係や受け入れ態勢が整っているかどうかに左右されるため、いつでも選択できる選択肢ではありません。

もし、コネがあれば検討してみるのもいいかと思います。

もともと専門スキルを持っているプロコーチを入社させる

コーチの育成からはズレますが、最初からプロコーチとして活躍している人を社員にすれば、わざわざゼロから教育する必要はありません。


入社前にどの程度のスキルを持っているのか判断できますし、教育にかかる時間を短縮させることもできます。

費用対効果としては一番良いのではないかと思います。

まずは、外部のプロコーチを使って社内にコーチング制度を作り、評判の良いコーチを正社員として入社を提案してみてはいかがでしょうか。


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